2020-08-30

キャッチボールの夢

夕暮れ時に一人で缶チューハイを飲みながら散歩。自分にとっては気の休まる時間で、気分が良いと少し遠回りをして家に帰りたくなる。

いつもとは違う道を通り、ある大きな芝生が広がる公園に差し掛かった時のこと。中学生くらいの子供たちがまだ自転車で友達同士で遊んでおり、そろそろ帰宅の時間なのでしょうか?「バイバイ」という声が行き交う。

昼間の猛暑から解放され、犬の散歩をしている主婦らしき人もたくさんいる。犬がウンチをしようと姿勢を見せると、飼い主さんは慌てて片付けの用意をする。なんだか面白い。

高校生くらいのサッカー部らしき少年2人が距離を50メートルくらい空けてボールの蹴り合いをしている。ひとりの子は上手いけど、もう一人はヘタだった。ボールを蹴る度にとんでもない方向へ行ってしまうので、上手い子が仕方なく頭上を高く抜いていくボールを追いかけていた。

そんな平和な夕方の公園でひときわ私の目を引いたのが、あるお父さんと息子の親子連れ。二人は野球のグローブを付けてキャッチボールをしていた。

私は小学校低学年の頃にやってみたいことがあり、それは父親とキャッチボールをすること。今考えるとものすごく小さい夢だけど、それは決して叶うことはなかった。公園でキャッチ―ボールをしている親子を見ていて、記憶がよみがえってきた。そんな普通の親子がやっている日常の出来事。自分には縁がなかったと思うと、子供のころの自分が可愛そうになってきた。

これはインナーチャイルドというセラピーを通して心のケアをする手法があるが、子供の頃に傷ついたその経験に立ち返って、子供の自分を抱きしめるというモノ。効果があるのかは知らないがタダで出来るのでやらない手はない。

実際にキャッチボールをしている親子に感動したのは、お父さんの優しさ。正直言ってその子供は野球の才能はまるで無い。さっきのサッカー少年の二人みたいで、それは野球少年だった私の目にもはっきりと映るほど。しかしお父さんは子供がボールを投げるたびに「すごいいいね!」とか「今のボール、カーブしたよ!」とか、子供が自信のつくような言葉をかけている。子供は無邪気な顔で夢中になってボールを投げ続ける。

そのやりとりを見ていると、心がとても癒された。その理由は、その無邪気な子供を幼いころの自分に置き換えて想像をしたから。お父さんとキャッチボールすると、こんな気分になるんだよ!と子供の頃の自分に教えてあげた。そこでキャッチボールをしている子供と自分を完全に同一化した。

これで親父とキャッチボールをしたいと思うことは、もうないだろう。ありがとう優しいお父さん。


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