2022-04-17

ぜんぶ、すてれば

面白い本を読みました。

「ぜんぶすてれば」中野善壽著

2020年にリリースされた本で、著者は寺田倉庫などの社長を務めた中野善壽(なかの・よしひさ)氏、現在78歳。1944年生まれなので、戦後の過酷な時代に育った方。だがしかし、その時代の日本人と比較して対照的であり、今流行りのミニマリストとさえ感じる究極の精神論者。

タイトルからも分かるように、モノを所有することに執着せず、とにかく持たないことに意義を唱える。

家は持たない、車も持たない、稼いだ給料さえも必要経費以外は寄付をするという。服はいつ捨ててもいい服しか着ないし、ホテル住まいだった過去には服なんてほとんどは現地調達。髪型だってすぐに変えるらしい。

面白いのはモノに限らず、過去にとらわれないために「思い出」も捨てる。

アイディアが沸いた時にすぐ行動に移せるように無駄なスケジュールも捨てる。おかげでスケジュール帳は真っ白、この表現が笑えた!ヒロユキ氏も「いつでも片手は空けておけ」と自身の本で語るように、スケジュールを詰め込み過ぎるとチャンスが来ても受け取ることが出来ない・・・そんな意味だと思う。思ったことを瞬時に行動に移す際にも予定の詰め込み過ぎは厳禁。また、ボーッとしている時間こそクリエイティブなアイディアが沸き出てくると語っている。

中野氏は本を沢山読むとのことだが、読んだ本も捨てる。また読みたくなったら新しく購入する。それって無駄じゃないか?と思ったが「次にその本を読む自分は全く新しい自分だ」と力説している。

スマホは情報量が多くて正常な判断の邪魔になるから不要。「頭の中の想像力こそが最高の遊び」という言葉に説得力があって衝撃的。自分に言っているのか?と錯覚さえしてしまう。また、彼は芸術への投資にも理解があって、だからこそ寺田倉庫の価値を世界的に発信することに成功できたのだと裏付けを感じる。

自分の考えだってコロコロと変わる。過去の考えに執着しない。

やめる決断も早い。多額の投資をした新規事業を6か月で撤退した話は印象的。とにかく心の中に縛られるものが無いから決断が速い。捨てるとはそういうこと。

人生は行き当たりばったりでいい。そんな言葉が響く。

最後に「自分が死ぬ間際の10秒間に、全て楽しかったと思いたい。そんな人生を送ること」このような言葉で締めくくっている。

あまりにも彼の言葉の数々が素晴らしくて、全てを紹介することは出来ないが、こんな格好のいい日本人がいるとは驚き。70代後半なのに、全然おじいちゃん感がない。

本書は詰め込み過ぎない文字数で200ページくらい、テンポよく1~2時間ですぐに読めるのも魅力的。モノを所有する価値観を今一度見直したい、そう思った。


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