魚はバカじゃない
以前、私が一人で海でボーっとしていた時のこと。
私が海の景色を満喫していると、少し先にいかにも上下関係のありそうな男性2人が海辺で釣りをしている光景が目に入りました。私が予想するに会社のボスと部下といった関係。釣竿は1本、ボスが釣り竿を持って、部下が横でサポートをしているような様子。
そのボスのような方が釣りをしている姿を見て、私は思いました。この人は絶対に魚を仕留めることはできないと。それは何故か?
私も魚釣りが大好きで、多少なりとも釣りをするので直感でわかるんです。一目見た彼の釣りをする姿に全然真面目さを感じない。エサのつけ方、竿の投げ方、海に釣り糸を垂らした後の彼の態度。
魚も大海原で日々生きるのに懸命ですが、彼のような釣り師に捕まることは絶対にないでしょう。
というのは、彼の釣りをする態度に必死さが全然伝わって来ないんです。これは経験のことを言ってるのではない。どんなに経験豊富でも、初体験の方も関係はない。
野生の王国では食べるか食べられるかで、どんな生き物も必死で生きています。生半可な気持ちで釣りをしている人に生きた魚が仕留めらることができたとしても、それはよほどラッキーな場合のみでしょう。
本当の釣り師ってマニアックな人が多くて、ボーっと釣りをしているように見えますが、エサを付ける際はいかに新鮮なエサを付けて海中の中に入ったときに魚にとっておいしそうに見えるか?を常に研究しながら釣りをしている。
また、魚が泳いでいる水深(釣り用語でタナと言う)を常に上下して、どのあたりに魚が泳いでいるのかを常に探索しているんです。海に釣り糸を垂らして、竿を置きっぱなしにしていたら、一生魚がかかることはない。そのボスは竿を置きっぱなしにして、ずっと携帯をいじったり、タバコを吸ったりしている。
要するに真面目な釣り師は、海中で自分の付けたエサが、魚にとってどう魅力的に見えているかをずーっと考えながら釣りをしてるんです。それでも全然釣れない。それは魚の方が人間より一枚上だから。魚ってボーっとしている人に捕まるほどバカじゃないんです。
魚釣りを例にお話をしましたが、これは釣りに限ったことではなく、仕事でも同じこと。ボーっとして釣り針にエサを付けて、それをただ海に放り込んでも何も釣果なんて期待できないのと同じで、常に想像力を駆使して狙った獲物をどうやって仕留めるかを考えていないと、おいしい効果だけを期待できるほど世の中は甘くない。
あのボスが普段から仕事の出来る方なのか?私の中では容易に想像できましたが、結果がどうであれ、あのような必死さのない釣りをしている姿を部下に見せるのは逆効果じゃないか?そんな風に思える出来事。
リーダーが部下に見せるべき姿は必死さ。結果も大切ですが必死な背中を見て部下は育つ。そう思います。
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