匂いで見抜く

私のお気に入りの黒い野良猫が近所に住んでいて、私の事務所にも頻繁に現れます。

しかしどういうことか、ある一定期間に来たかと思うと、しばらく来なくなったりもする。すると見たことのない他の猫がうろうろしている。こんなことが何年も続いていたある時に気づいたんです。

お気に入りの黒猫は非常に弱い猫で、私が餌をあげると嬉しそうに食べるのですが、食べきれずに残してしまう。すると、残った餌に気づいた強い猫が余った餌を食べる。強い猫は自分の匂いをあちこちに残していくので、黒い弱い猫がビビッて来れなくなる・・・そんなことが起きていたみたいです。

だから置き餌はいけないんですね。ようやく理解しました。

猫の嗅覚は人間の数万倍ともいわれ、匂いによってなわばりを認識しているといわれています。それを前提に人間にも同じように「匂い」の特性について考えてみる機会がありました。

私たちの嗅覚は猫ほどは優れていないもの、第一印象を匂いによって決定づけていることがあります。不衛生で体臭の匂いがきついことを除き、人間も人それぞれの匂いを発している。

アメリカに住んでいた時に、白人はミルク臭いと感じたし、黒人は松ヤニみたいな独特な匂いを発する。対して日本人は醤油臭いと言われたり、人種間でも特性があります。

私が最近敏感に感じるのは、病気の人の匂いやネガティブな人が発している匂い。言葉では表現しにくいのですが、よどんだ匂いがする。

また霊感の強い人は、近くに成仏していない霊を感じる時に「ドブ臭い匂いがする」と言っていた。何が言いたいかというと、人間は直感的に他者の存在を匂いによってかぎ分けられるのではないか？という個人的な仮説。

以前、私の大好きな小林正観さんのお話を聞いていた時に、こんなことを言ってました

私の娘は知恵遅れという障害があるんですが、彼女の心にはネガティブな感情が一切入っていないんです。学校の通信簿にも誰よりも「ありがとう」という言葉を伝えると書かれていました。この前なんて私たちが車を停めた駐車場のおじさんに「ありがとう」って言いに行ってましたから。彼女には障害がありますが、私たちにとっては神様が贈ってくれた最高の宝物なんです。そして、彼女は不思議なことにいい匂いがするんです。香料や整髪料は何も付けていないのに、とてもいい匂いがする。心が澄んでいる人はいい匂いがするんですよ

こんな内容のお話しで、これを聞いた時に私の仮説は確信に変わりました。

人の見た目や立ち居振る舞いなどの視覚的な印象も大切ですが、その人から発している匂いによっても直感的な判断材料に成りえるのだと。

私も第一印象で生理的に受付けない人の多くは、匂いがツンとくる人。表現しにくいのですがツンとくるんです。香水とかじゃなくて、明らかにその人から発しているオーラみたいなもの。東京の満員電車内の重くて、よどんだ空気感みたいな・・・

個々が発する「匂い」というのは、人を見抜く判断基準として採用できるのではないかと思います。