2020-12-22

Bessie との再会

わたしは17歳の時に一人でアメリカへ旅行へ出かけ、そのまま5年間も住み続けた変人です。もう時効だから正直に言いますが、観光ビザだったので入国から3ヵ月で滞在資格は失効し、その後はニューヨークの日本人レストランで皿洗いをやりながら生活をしていました。

そもそも何故アメリカに一人旅に出たのか?それは当時の自分はアメリカの音楽に全身全霊を注いでいたから。アメリカ音楽のルーツを知りたかったし、16歳の時に大好きだったJanis Joplin(ジャニスジョップリン)、そして彼女が影響を受けたというブルースシンガーのルーツを追い求めてアメリカ国内を放浪していたんです。

当時ジャニスの自伝本を読んでいると、何度も目にしたのがBessie Smith(ベッシ―スミス)という名前のシンガー。1937年に43歳で亡くなっていましたが、1920年代のアメリカ音楽を語る時に欠かせない存在だったことを知りました。それからというもの、ベッシ―スミスのレコードを全部買い集め、空気を吸い込む勢いで彼女のブルースソングを体内に取り込みました。

先日のことですが、アマゾンプライムの映画を見ようと思い、何か良い映画はないかと探しているとQueen Latifah(クイーンラティーファ)が演じた「Bessie」(2015年作)という映画が目に飛び込んできました。そう、わたしがアメリカで体内に取り込んで過去には私の体の一部となったベッシ―スミスのお話でした。これはもう偶然の再会としか言いようがありません。

クイーンラティーファも私が住んでいた当時のニューヨークで火が付いたアーティスト。当時はアフリカ人意識の高いヒップホッパーでしたが、今はグラウンドを広げジャズを歌ったりテレビに出たりと、ストリート出身からアメリカンドリームをつかんだ女性です。

映画「ベッシ―」は本人のサクセスストーリーに沿った内容で、随所に使用されているベッシ―のヒット曲はどれも懐かしく10代の自分にタイムトリップしたかのよう。1920年代までさかのぼって黒人社会を描いた映画は今まで見たことが無かったので、それも新鮮に映る。

当時わたしが初めて触れたもの、嗅いだ匂い、感じたあの感情を久しぶりに再会した音楽が当時のありのままを味わせてくれる。なんて懐かしい味、なんて懐かしい感情・・・・

音楽を純粋に追いかけていた若き自分に出会えた映画。映画の批評にはなりませんが、アメリカの音楽史に名を残した女性シンガーとして、音楽ファンに一度は知ってもらいたい存在です。


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