人間失格
今話題の森 喜朗さんの女性差別発言問題。ここ1週間はテレビをつけるとこの問題が取りざたされていて、あらためてマスメディアの恐ろしさを実感しました。
もちろん女性への差別的な発言を公の場で、しかも日本のオリンピック組織トップがぶちまけてしまったことは完全にアウトでしょう。しかし、その取り上げられ方が問題。マスコミが取り上げる芸能人や政治家の不適切な発言やスキャンダルは、その人の人権をも奪うくらいの勢い、それってどうなんでしょう?今までも疑問でしたが、今回は特に残酷に感じました。
よくよく考えると戦後の日本復興時代に育った森さんくらいの世代間では、女性の立場はハッキリしていました。その名残は今でも確実に残っていますし、暗黙の了解として一般企業でも女性がお茶を出すなど、まだまだ根強く残っているじゃないですか?そもそも日本人の女性が選挙権を獲得したのは1945年。森さんはその時代に育った人間であり、その価値観が年を追うごとに薄れることはないでしょう。彼の失敗はそれを思っていても、口に出してはいけないと認識すべきでした。
私自身も男女平等という価値観は持っていますが、実生活においてそうではないことが多過ぎると感じませんか?女性の立場は未だに弱いままだし、残念ながら社会的なシステム自体が男性主導で動いているのが日本という国。テレビで森さんをこき下ろしていた男性のコメンテイターを見ていると、どこかに矛盾を感じてしまいます。
森さんの肩を持つ気はこれっぽっちもありませんが、あのような攻撃的な報道で、森さんが命を懸けて人生最後のチャレンジをしていた、彼の手による日本でのオリンピック開催の夢は消えてしまいました。森さんがオリンピック会長を辞任してせいせいした、という方がほとんどかもしれませんが、日本にオリンピックを誘致したという実績には少なくとも敬意を払うべきだと感じます。
コロナの感染拡大で日本でのオリンピックの開催が危ういことは確かですが、誰のせいでもないコロナのパンデミックのストレスを、一人の人間の一瞬の失敗をこき下ろすマスコミは恐ろしく、そこには人間の価値さえも無いような報道をするのはどうなんでしょうか?
政治家など影響力を持つ方の発言は慎重に行うべきです。決して本心だからと言って、公の場で発言してしまうのは許されない。しかし、その揚げ足をマスメディアに取られて、その人の人生が再起不能になってしまうような世の中にはなって欲しくない。
人間は若くても年配でも失敗を犯します。それが人間ですから・・・年齢を問わず、いくつになっても失敗からやり直しが出来る世の中であって欲しい。失敗したら人間失格、そんなの悲し過ぎではありませんか?
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