サマンサという少女 Part1
今日の朝、何故だかわかりませんが10代の頃、New Yorkに住んでいた時に付き合っていた女性のことを突然思い出しました。
彼女の名前はハッキリと憶えていてSamantha Wongと言います。Malaysia(マレーシア)出身の方で、Liberty High School(リバティーハイスクール)という高校で知り合いました。(ちなみに検索に引っ掛かるようにわざと英語も使って書いておりますので、ご了承ください。)
当時の私はファミリーネームがJun Matsuda(マツダ)と名乗っていました。アメリカでは既に日本車のブランド「Mazda」が有名でしたから、現地のアメリカ人も直ぐに名前を覚えてくれる便利なJapanese Name。日本人に見られたことは一度もありませんが・・・
彼女はNew Yorkに親戚の方と一緒に住んでいて、両親は二人ともSingapore(シンガポール)でビジネスをやっていると言ってました。
デートは学校の帰りに一緒にマックへ行ったり、ニューヨークのChinaTown(中国人街)でフラフラ散歩をしたり・・・
正直言うと、私は彼女にあまり興味が無かったのですが、彼女は何故か私にとても好意を持ってくれます。誰かに好意を持ってもらえることは、当時の自分にとってはありがたいことでしたので、付き合っていた・・・という程度。
ある日のこと。いつものようにお茶をしていると、当時ひとり暮らしをしていた私の小さな部屋に遊びに来たいと言い出しました。ミッドタウンで少しお茶をした後、彼女の車で私の部屋に向かう。
当時の私の部屋はメキシコ人ばかりが住む貧困街のビルの一室にあり、連れてくるのに抵抗がありました。で、なんと言っても部屋がメチャクチャ狭くて、そんな貧乏くさいところを見せるのが恥ずかしかった。
というのも、ある時彼女が自分の貯金通帳を見せてくれたことがある。彼女は親から相当な額を仕送りしてもらっていて、一瞬でしたが銀行通帳の数字を見てしまった。
その数字は、今までの自分が見たことも無いほどの額。ケタが多過ぎて、一体いくらあるのか想像もつきませんでした。私の記憶が確かなら、それは百万という単位ではなかった。数千?数億?
そう、さっきもお伝えしたように彼女の両親は共にビジネスを成功させている人物。それに比べ、当時の私はレストランの皿洗いで稼いだ給料(月に600ドルくらい)で生活していました。そこから家賃を払ったり、食費を捻出したり。もちろん、親の仕送りなんてありません。だから、彼女とはあまりにも身分の差を感じていたんです。
私の部屋へ向かう車の中で会話をしていると、彼女がもうすぐ誕生日を迎えることがわかりました。「お祝いをしようよ」と私が提案すると、彼女は目をうるうるさせながら答えました。
「数年前、私の誕生日に友達が交通事故で亡くなったの。その日以来、自分の誕生日が近づく度にそのことを思い出す。だから誕生日なんて大キライ」と。
そんな事情を知らなかったので、私は返す言葉に詰まってしまい、車の中は重い空気が流れしばし沈黙に・・・
そうしている間に、私の住んでいるところがすぐ近くに差し掛かりました。近所のワル達がここに居るのは場違いだよと言わんばかりに、清楚な少女をジロジロ見ている。
路上に車を停めて、オーディオデッキを椅子の下に隠し(※当時のニューヨークは車の窓からオーディオデッキが見えると、すぐに窓を壊されデッキを盗まれたので)ドアをバタンろ閉めました。
「ハア、なんだか気が引けるな~」と私の心がつぶやく。
そしてこの後、彼女の行動に信じられない展開が・・・・それは明日の続編でお伝えします(笑)
(※ちなみに、この話は全て事実です)
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