Billy Holiday – Good Morning Heartache 和訳

あれは1980年代、私が10代の頃のお話。

東京に上京してJazz Musicにドはまりした時期があります。当時はレコード全盛期でしたので、音楽を購入するのはレコードかカセットテープが主流。毎週末にレコード屋へ行っては、働いて稼いだわずかなお金でレコードを買いあさっていました。

とは言え、誰かからJazz音楽について教えてもらったわけでも無く、レコードを購入するのは「ジャケ買い」というレコードのジャケットを見て格好いいから、という理由で購入することがほとんど。

その時期に購入したレコードは、以後の私の人生を変えていくことになるのですが、その時に出会ったアーティストの一人がBilly Holiday（ビリーホリデイ）という女性のジャズシンガー。彼女は1959年に44歳の若さで亡くなっておりますが、彼女がアメリカの音楽シーンに与えた影響は計り知れず。

正直言って、大した歌の上手いシンガーではありませんが、なんと言うか・・味があるんです。

彼女のことを調べていくと1冊の本に出会うことになります。それが「奇妙な果実」というビリーホリデイの自伝書。

ビリーホリデイ　奇妙な果実

この本は10代のころから、今までに何度読み返したかわかりません。内容は彼女の自伝的な内容の他に、もうひとつ大切なことがあります。それは・・・

「奇妙な果実」というのは、アメリカの田舎で彼女のお父さんが人種差別の元リンチを受けて木にからぶら下がっている様子を描写した表現。この本は1971年に大橋巨泉さんによって翻訳され、現在までに国内のジャズファンにも引き継がれています。

彼女のレコードは、10代の時にほとんどを買い占めました。レコードが擦り切れるほど聞き込み、レコードで聞き足りない音源はカセットテープにダビングしてウォークマンで聞いていました。彼女の曲は憂鬱な歌詞が多く、当時の私が根暗だったのはビリーホリデイの影響かもしれません。

今日は星の数ほどリリースされているビリホリデイの曲の中で、私の思い入れが深い曲を紹介します。その曲はGood Morning Heartache（悲しみよ、こんにちは）という曲。以下のバージョンは彼女の後期にレコーディングされましたが、これがイイ！

Good Morning Heartache – Billy Holiday

歌詞を以下に翻訳しましたので、英語の苦手な方はどうぞ

Billie Holiday- Good Morning Heartache

悲しみよこんにちは 今日も憂鬱な顔してるじゃない
悲しみよこんにちは 昨日サヨナラしたはずだけど
あなたがいなくなって どうにか眠れたと思ったのに
夜明けとともにまた現れたのね

あなたなんか忘れたいのに ずっとここにいるのね
あなたに出会ったのは 私の恋人が行ってしまった日
今や毎朝の挨拶は決まってこれ
悲しみよこんにちは 何かいい事ある？

もうつきまとうのはやめて
どうしてもあなたを追い払うことができない
どうか私を放っておいて
月曜日の憂鬱に取りつかれ
日曜日の憂鬱が終わったばかりなのに

悲しみよこんにちは また一緒なのね
悲しみよこんにちは ずっと前から知り合いみたい
あなたがそばにいることも慣れちゃった
悲しみよこんにちは まぁそこに座って

もうつきまとうのはやめて
どうしてもあなたを追い払うことができない
どうか私を放っておいて
月曜日の憂鬱に取りつかれ
日曜日の憂鬱が終わったばかりなのに

悲しみよこんにちは また一緒なのね
悲しみよこんにちは ずっと前から知り合いみたい
あなたがそばにいることも慣れちゃった
悲しみよこんにちは まぁそこに座って

—————————————-

この曲のエピソードがあるのですが、私が昔住んでいたハーレムのコンビニに立ち寄った時、ホームレスの男性が店に入ってきて大きな笑顔でこの曲を歌いだしました。その歌唱力が信じられないくらい素晴らしくて、とても感動したのを思い出します。

この曲の思い入れが深いのは、ニューヨーク時代に死ぬほど聞き込んだこと以外にも、ダイアナロスがビリーホリデイの自伝映画を演じた際に歌っていたから。映像が残っていたので以下に貼り付けます。見ていて思ったのですが、Diana Rossの歌にBilly Holidayの魂が乗移っているみたいに見えます。

10代の頃に影響を受けた音楽ですが、人生の折り返し地点に来ても全く色あせることはありません。つくづく、音楽って素晴らしいな～と。

珍しくDJっぽい音楽ブログになって何故か笑えます。