赤ちゃんと子犬
先日、娘が来日アーティストのコンサートへ行くので、少しの間だけ赤ちゃんの子守りをして欲しいと連絡がきました。
最近は忙しいのですが、丁度その時間がスッポリ空いていたので「OK」と気軽に答え、赤ちゃんだから癒されるだろうなぁ~とワクワクと胸が高鳴ります。
娘の家には赤ちゃんの他にも子犬がいて、癒しグッズが勢揃い。最近の私のスケジュールは正にイベントラッシュでスゴイことになっていますから、メンタルのコリがほぐれるだろうと期待していたんです。しかし、その期待とは全く違うことが起こるとは予想もしていませんでした。
娘の家へ行くと、さっそく子犬がお出迎え。元々人懐っこい犬だったのですが、メチャクチャ敵意むき出しで吠えてくる。「おいおい、せめて噛みつかないでくれよ」と思いつつ、とりあえず今日の目的は子守りだと心を切り替え犬はスルーすることに。普段の私はジャンルを問わず動物からは好かれるタイプなのに、何かがおかしい。
そして次は赤ちゃんとご対面。数カ月ぶりに会った赤ちゃんは、以前よりも子供っぽくなっている。前回会った時はサルの子供みたいにクシャクシャでしたから、それに比べればなんてカワイイのかと。
最初、赤ちゃんは私の方をじっと見つめ目を離さない。10秒、20秒・・・どれくらい見つめられただろう?こんなに人からじっと見つめられたのは久しぶりだ。何を考えているのだろう?私の瞳の奥に何を見出しているのだろう?それとも何かヘンなものが肩のあたりに映っているのだろうか?それは赤ちゃんにしかわからない。
すると、次の瞬間に起きた出来事に衝撃が走る。赤ちゃんは私の顔を伺いながら徐々に顔を曇らせると、一気に泣き出しました。その泣き方といったらホラー映画の殺人鬼にでも遭遇したかのような恐怖に満ちた泣き方。
私の娘は「普段は全然人見知りしない」と説明するが、私は完全に受け入れられていないようで、10分しても20分しても泣き止まないんです。今までを振り返っても、ここまで子供に人見知りされた経験はないのに、今日は指一本触れることが出来ない状態。犬を見ると私を威嚇して吠えているし、赤ちゃんは大泣きして大変なことになっている。
私の娘は「どうしよう、もうコンサート行くのやめようかな」と言い出したので「な、なんとかなるよ。行っておいでよ」と強がってみせる私。「とにかく大丈夫だから、さあ遅刻しちゃうから」と言って娘を玄関先まで見送りました。
部屋に戻ると右には大泣きの赤ちゃんの姿。左には威嚇をしながら吠え続ける犬の姿。癒されるハズの小旅行はカオスで手の付けられない状態。
しかし、自分の幼い時の記憶をたどると思い出したことがありました。子供って泣くとメチャクチャ体力を使うので疲れるんです。で、疲れると寝るしかなくなる。私は心を鬼にして、赤ちゃんをひたすら泣かせて(何もしないでも泣くので・・・)疲れて寝るのを待ちます。
この「泣き疲れ作戦」は効果テキメンで、赤ちゃんは大泣きから次第に泣きしゃっくりへと変化を見せる。犬は私が振り向くと、まだ威嚇をしていますが、そこは気にしない。
20分ほどして、しゃっくりが緩やかになり「よし、赤ちゃんベッドへ運んで本格的に寝かせよう」と赤ちゃんを抱っこした、その時!
「ギャ~ア!!」と目を覚まし、また大泣きのふり出しへ逆戻り。私は「ここで負けてはいけない」と思い一気に赤ちゃんベッドがある部屋へヤツを運び、うつぶせで寝かせる。要するに私の顔が見えなければ泣かないハズなので、うつぶせ寝なんです。
※↑これホンモノです
直ぐに電気を真っ暗にして、お父さんのフリをする。うつぶせ寝だし、電気は真っ暗だし「オレはお父さんだよ~」ってヤツに見破られないように頑張ってみる。そして背中をトントンと叩き、赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる時の心臓音の早さでトントンしてみる。この作戦は大成功だった。
赤ちゃんはスヤスヤと睡眠モードに突入、私は自分の仕事をやり遂げた達成感にひたる。
部屋に戻ると子犬は吠えなくなっており、きょとんとした顔でこちらを見ている。さっきまでの威嚇がウソのようだ。
自分の肩の上に何かがのっかっていたのか?それは分からないけど、とりあえず安心して持ってきたPCで仕事をしながら娘がコンサートから帰宅するのを待った。
散々な一日だったが、こんな日もある。赤ちゃんと子犬は何を考えているのか?私には理解できない。
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