エイズになったかも
若いころは「死」について考えることは少ないかもしれませんが、一般的には50歳を過ぎたころからでしょうか?人間の死について向き合う機会が増える気がします。しかし私は違いました。コロナよりもはるかに怖いあの感染症への疑いです。
わたしは20代前半にアメリカから帰国し、日本ですぐに付き合った女性がいます。彼女には既に子供が4人いて母子家庭で生活を頑張っている方でした。私自身は1980年代のアメリカで毎晩のように遊びに明け暮れていて、帰国後のある時にフと頭をよぎったことに悩まされることになります。それは、もしかしたら自分はエイズに感染しているのでは?という疑い。
もし、わたしがエイズに感染していたら、その時に付き合っていた女性にも感染させてしまったかもしれない。そうしたら、その残された子供達はどうなるのでしょう?そんなことを永遠と考え出したのです。
そう考えると居ても立っても居られない。まずは自分の死。そして彼女の死。
エイズはいまだに特効薬が開発されていませんが、その時代のエイズは、発症から死までの死亡率が今よりもはるかに高い数字でした。(今は発症してもある程度抑制する薬があるみたいです。)
エイズ検査には結果が出るまでに2週間ほど時間がかかります。わたしは病院で検査を受けてから、地獄の2週間を迎えることになります。毎晩寝れないのはもちろん、ご飯も全く喉を通らない。その時の私は2週間で体重が10キロもやせてしまいました。
彼女に迷惑をかけてしまったらどうしようとか、自分はあとどれくらい生きていられるのだろうとか、心配をしたら止まりません。
そして、その時に付き合っていた女性に打ち明けることにしました。
自分「お、オレさ。アメリカでエイズにかかったかもしれない」
彼女「・・・・・・・」(言葉が見つからない様子)
自分「そんな疑いがあるのに、ご、ごめん・・・黙っていて」
しばらく彼女は口を閉じていましたが、その時の私の感覚で2時間くらい経過したと思われた後
彼女「いいよ、なんとかなる、きっと」
私は泣き崩れました。いや、正確に言うと2人で泣き崩れたというのが正しい。
毎晩襲ってくる不安と恐怖で悪夢をたくさん見ましたが、その時の彼女の言葉にどれほど救われたことか。今考えるとなんて素晴らしい方だったのでしょう。
そして2週間の検査機関を経て、いよいよ病院へ検査結果を聞きに行くことに。
この続きは明日にでもお話します。
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