2人の成功者
最近は本を読む時間が作れるようになり、これまでに買いだめしている大量の本の中から面白いと感じた2冊を同時に紹介したい。(まだ読めていない本が30冊以上あるが・・・)
1冊目は1972年に初刊が発行された藤田田さん著の「ユダヤの商法」。そしてもう1冊は2020年3月にリリースされたばかり、西村博之さん著「1%の努力」。この2冊の共通点は著者が日本人ビジネスマンとしていずれも成功を収めているということ。そして相違点は成功までの思考や商法がまるで違うこと。これは単に藤田さんは戦後の厳しい時代の経営者で、ひろゆきさんが現IT時代の経営者だからという理由だけでは片づけられない。
藤田さんに至っては生まれながらの大阪商人でありながら更にユダヤ人から商売のノウハウを学び、今だに色あせることのないビジネスの神髄を泥臭くもズバリ指摘している点。なにも不自由のないこの時代に改めて目を通すと、その考え方はシンプルかつ新鮮で物事の本質を見極めるうえで大いに役に立つことばかり。10代の孫正義(ソフトバンク)が彼に会いに行った際に「これからはコンピューターを学ぶべき」と助言をしたという伝説は(勝てば官軍より)先見の目を持った藤田さんを物語る強烈なエピソードだろう。
一方、ひろゆきさんの本を開いた1ページ目には「サボる才能はあるか?」という問いで始まる。「働かないアリであれ」との例え、「スケジュールは埋めるな」、「両手をふさぐな、片手は開けておけ」など努力することで成功できるという考え方を真っ向から否定している。要するに思考の発想に要点を置いた話を重点的に語っている。
しかし時代は違えどサービスや仕組みをビジネスとして提供するうえでの考え方は二人とも同様で、要するにその時代に見合った、人々が必要としているサービスに着目したことだろう。藤田田が残した日本マクドナルドも、ひろゆきさんが残した2チャンネルも自分の得意分野であるビジネス領域において、その先に起こりうることを想像できたこと。マクドナルドならファストフードという食文化、2チャンネルで言う掲示板を通じて自己を主張したいという文化であり、今はヤフーやツイッター、YouTubeの書き込みに流れているだけのこと。世界で誰よりも早くそこに着目した点を考えると先見の目を持っていたということに変わりはない。
半世紀におよび時代は違えど、ビジネスの定義というのは時代に見合ったニーズを満たすこと、そして人々に必要とされているかどうか?に結論を決定づける。この全く違う2人の商人の考え方を通して私なりにそう紐解いた。対照的なこの2冊を是非とも読み比べてほしい。
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