2024-01-07

骨の最後まで

今から約1週間前の大晦日前の出来事。

20代の時に勤めていた千葉県船橋市の卸売市場へ食料の買い出しに行ってきました。

若きしころの私はミュージシャンとして活動する傍ら、それだけでは食べていけないので朝早くから市場で働いて、昼過ぎにはそのアルバイトを終える生活をしていました。昼過ぎから余った時間を音楽活動に充てていたのです。若かったこともあり、結局は喧嘩をして辞めてしまいましたが5年くらいは働いていたと思います。

しかし、今でもこうして久しぶりに市場へ行けば覚えてくれている仲間がいて、値引きをしてくれたり笑いあったりできる。これって何だかうれしい・・・

船橋市場のような地方の卸売市場は、どこの店も経営が苦しくて、今ではお店をやむを得なく閉店してしまう仲卸し業者もたくさんいる。経営難のうえに後継者がいなくて市場に従事している方々の多くは高齢。ほとんどの店舗は家族で支えあって、日々何とか乗り切っているような雰囲気です。築地場外や豊洲市場のように活気に沸いている様子はうかがえません。

そんな地方市場も年末だけは活気に満ちている。その理由は一般客が新鮮な海鮮類を求めて足をのばしてくれるから。普段は閑古鳥が鳴いている風景から一変して、歩くのも困難になるほど買い物客でごった返します。

私は1年ぶりに買い物に来たのですが、シャッターを閉めてしまった店舗が目立つ中、新しくお店を構える店舗もありました。そのお店に立っていたのは、なんと中国人。経営者も中国人なのかはわかりませんが、地方といえども鮮魚の「仲卸し権利」を持つことは誰にでもできることではないので、驚きました。

そのお店では青森産の生本マグロの柵をお求めやすい値段で売っていて、さっそく買ってみることにした。試食でブツ切りを食べてみたのですが、濃厚な本マグロの味わいで美味しい。と、その時・・・・

私の目に飛び込んできたのは、廃棄されている巨大なマグロの中骨。で、さっそく聞いてみた。

「その中骨、捨てるなら売ってくれませんか?」と。

すると「コレハ、ステルヤツ」と言う。

「いやいや、もったいないから捨てるなら売ってください」と私。

「じゃあ、500エンOKよ」

とのことで500円を支払い買ってきたのがこちら。

魚スキの人なら理解できると思いますが、肉でも魚でも、骨についている身というのは最高に美味しい部分。この部分をスプーンなどで掻き出して通常のマグロ屋さんでは「中落ち」という商品で売っているんだけど、このお店ではそんな手間はかけずに処分しているとのこと。日本のマグロ屋さんでは有り得ません。

ちなみに、この骨から掻き出した剝き身がこちら↓

軽く300グラムはあったと思います。これが500円だなんて・・・二皿に分けて、ひとつはそのままで、もうひとつはネギトロにしていただきました。

青森の大海原で元気に育ったマグロだったのでしょう、人間の手によって捕獲し食されるんだから、ありがたく骨の最後までいただくという意味でも手にする価値があると思いました。


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