シラス兄弟
忘れもしない、あれは確か自分が小学校6年生の時。同じ小学校内の4年生にバンド活動に明け暮れている少年がいる噂を聞いた時のこと。
「一体ナニモノだろう?」
私は10歳の時にドラムを始め、6年生になる頃には地元の高校生や大人の中で大流行していたバンドを組んでみたかった。だから自分より年下の4年生の子が既にバンド活動をしていることが信じられませんでした。
そこで学校の朝礼で全学年が体育館に集まった際に、その子を探しに行ったんです。で、実際に会ってみると彼はオカッパ頭の、いかにも4年生といった風貌。本当に彼がバンド活動をしているとは見た目からは判断できない。
と言うのは、当時バンドをやっている人達は不良のイメージ。矢沢永吉とか、舘ひろしとか、ヘヴィメタルのミュージシャンも含め不良ばかり。。。私が出会ったオカッパ頭の少年はいかにもお坊ちゃんでイメージとは対照的でした。
ここからが面白いのですが、彼に話を聞くと当時のアマチュアバンドが必ずエントリーしていたヤマハ主催のポピュラーミュージックコンテスト(通称ポプコン)という大会があり、彼のバンドは地区大会で優勝をしていました。自分よりも年下の子がポプコンの出場経験があるうえに、優勝までしている・・・これはただ事ではないと思い、彼のバンドが練習する日に見学をさせて欲しいと申し出ました。
直ぐにOKが出たので、ある日の夕方に彼の家へお邪魔しました。古い家でオカッパ少年とお父さんが迎い入れてくれ、中に案内されました。そこでまず衝撃的だったのが、自分の家でバンドの練習をしていること。
家には6畳くらいのバンド練習部屋があり、そこにでっかいスピーカー、ドラムセットやギターアンプ、ベースアンプなどがギュウギュウに置いてある。そして壁を見渡すと一面に畳が張り巡らされている。畳は床に敷いてあるモノと信じていた自分にとっては不思議で仕方ありませんでしたが防音の為だと言う。
そこへバンドのメンバー5人が集まったのですが、実は5人中3人は兄弟であることが判明。高校生のお兄さんがボーカルとギター、中学3年のお兄さんがベース、そして小学4年生のオカッパ少年がバックボーカルと打楽器。ドラムを担当しているのは高校生の友達らしい。
私もその時はすでにドラムをやっていたのドラムを眺めていると、いきなりその方がドラムをたたき始める。それに合わせてギターが入り、ベースも入る。その爆音と勢いの素晴らしさといったら、いまでも忘れられない・・・
「こ、これがバンドかぁ~」
と心の中で大感動。
今思い出しても、その辺のバンドよりも全然テクニックがありましたし、何よりも彼らのオリジナルの曲が素晴らしい、さすがにポプコンで賞を獲得するだけの実力があったんです。彼らのバンド名はマーズ(Mars)
とんでもない刺激を受け、帰りに彼らの曲が入ったDemo Tapeをもらったのですが、テープが擦り切れるほど聞き込みました。
後から聞いた話では、3人兄弟のお父さんがローリングストーンズが大好きで、子供たちにバンドを組ませたのだとか。ローリングストーンズの曲も演奏していましたが、他にもその練習の際に彼らが演奏していた曲がこちら↓
旭川という小さい町なのに、こんなスゴイ人がいて、しかも英語で歌っている!
その練習風景を見て、あまりにもシビレてしまった私・・・この出来事は私が音楽の道を志すきっかけになったことは紛れもない事実です。
あの日からずっと、音楽への感動が薄れることはない。シラス兄弟、ありがとう!
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