プロの資質
日本人はいまだに「根性論」や「精神論」のような考え方が残っていると思います。
大きなイベントとかプロジェクトがあって、その目的を果たす段階でプランAがダメだったら「あとは頑張ってなんとかしよう」みたいな考え方。頑張ればなんとかなるよ、と仲間と気持ちを高め合い、奮い立たせてやり抜けるみたいなやり方。
ダメ元の根性論ではプロジェクトを成功させるための具体案に欠けて、ハッキリ言って効率が悪い。目の前に電動工具があるのに手にノコギリを持って大きな木を切るみたいなやり方です。
やり遂げようとしているプロジェクトが大きければ大きいほど、当初に企画したプランが変わってしまうのは当たり前。だから本来は企画段階でプランAがダメだったらプランB、プランCと予備の対策を打っておくべき。問題が起きてから「どうしよう」では進行が滞ってしまいます。
でもプランBやCを準備すると言っても、そのような問題が起こるのを想定する段階で経験値や想像力が問われる。「こんな問題が出てきそうだな」とか、全く経験したことの無い仕事なら想定外の問題にぶち当たるかもしれない。
そんな時に「根性で頑張ればなんとかなるよ」と嘆いても、何ともならないのが現実。そんな根性論は要らんワケです。
実際にプロの仕事と言われるのは、この部分。どれだけ問題解決に向けて事前準備をしているか?という面。つまりトラブルシューティングに対応できる能力がプロとアマチュアの差だと思う。
例えば、私が数年前に音響部隊として参加させてもらった山奥でのウエディングパーティーのお話をしよう。
このウエディングを企画したプランニング会社は山奥の屋外でウエディングを挙げるというのに、その時は簡易的なタープを10個くらいしか用意していなかった。担当者は「明日は雨は降らないし、そう願うしかない」と祈るように願っていた。でも当日になって、天気予報に反してバケツを引くり返したような雨が降って来たんです。
ウエディングのレセプションが始まり、ゲストが続々と会場にお越しになった。タープは雨の重みでポタポタと雨が漏れて役に立たないし、他に大雨から非難する場所もない。しかも、その時はバンドも入っていて、楽器もビシャビシャ・・・
最終的に全員ビシャビシャになって、新郎新婦やゲストのスーツやドレス、革靴も泥だらけになった。無論、前日まで「なんとかなるよ」と言っていた企画会社のスタッフから笑顔は消えていました。
天候などの自然相手で例え話をしましたが、これはシステムでも機械でも人間のサービスでも同じこと。
事前に予知できそうなトラブルに対して、どれだけ準備をしておくか?ここが技術者や企画者、リーダーに問われるプロフェッショナルの資質だと思います。
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