2021-05-05

根拠は要らない

先日の生配信での出来事。

ホールにてダンスの生配信(ライブストリーミング)を行った際にハプニングがありました。信じられないような出来事です。

朝から現場に入り、ホール内にカメラを配置し、インターネット中継をするための準備をしていました。準備は着々と何の問題も無く進み、全てが順調。あと30分でいよいよショーがスタートし、全国へ配信を開始しようとした時、問題は起こりました。

リハーサルの時はトラブルは起きなかったのですが、本番直前に突然PCがインターネット回線につながらなくなったのです。その意味するところは、配信を中止せざるを得ないということ。問題を解決するため、本番まで残り30分とカウントダウンが始まりました。

私がとった行動はまず落ち着くこと。何度か深呼吸をしました。誰にも相談できずメッチャ孤独になりました。自分以外にこの解決できる人間は、ここにはいません。

もしこの配信が出来ないとなれば、主催者はもちろん、この仕事を私を紹介してくれた方、そして何よりも配信を視聴するために待っている全国の方々へ、どうやって説明をすればよいのでしょう・・・

私自身、現場は相当数の場数を踏んでいるので慣れていますし、これまでに機材トラブルで潜り抜けた修羅場も数え切れません。そんな私でも今回ばかりは変な汗が出てきました。「絶対になんとかなる」と思う自分と「どうしていいかわからない」という気持ちが3秒ごとに交差します。

機材トラブルで原因を特定できない時は、一つ一つチェックをしていくしか方法は無いのですが、既に配信開始の時間になっているため、それでは間に合いません。

パソコンを再起動したり、グーグルで問題を検索したり・・・思いつく限りのことをやってみましたが、一向に解決の糸口がつかめないまま、時間だけがチクタクと過ぎていく。

そこへ声をかけてきたのが、その時一緒に仕事をしていたカメラマンのN氏。「どうしたんですか?」と聞いてくる。

私が「じ、実はインターネットがつながらない。原因不明で・・・」と青い顔の私を見た彼は

「ぜっっったい大丈夫ですよ!!!!!」と何の根拠もなく言葉を投げかけてくれました。

そう、彼の「大丈夫」という言葉に根拠なんてないし、彼自身も原因は分からないんです。しかし、実際の私はその言葉に救われたんです。その力強い言葉に・・・

配信の時間はとっくに過ぎていましたが、何度も何度も繰り返し調べていると実は配信はできていることに気づきました。原因は特定できませんでしたが、私の作業用のPCがネット回線がつながっていないような画面になっているだけで、他の端末でチェックすると配信されている。

ソフトウェアの問題だったらしく、とにかく配信は滞りなく出来ているという事実にたどり着きました。

そしてソフトウェアが不調のまま、定刻の時間になりショータイムがスタート!

心臓バクバクで作業をしながら、配信画面を見ると問題なくインターネット中継ができていました。ワケのわからないまま、約3時間を予定している配信が行われ、最後までその状態のまま終わりを迎えました。

最終的に、クライアントには迷惑を掛けない程度の問題は起きたのですが、全然ノーモンダイ。役割は果たしたのです。

 

あの時、もし彼が「絶対に大丈夫!」と声を掛けてくれなかったら、私は気持ちを切り替えられないまままトラブル街道に突進していたかもしれません。

ステージの向こうにいるカメラマンの彼(黒い服)がどれだけ神に見えたことか・・・

「絶対に大丈夫!」トラブルを回避するのに全く根拠のない言葉でも、私の弱った心に活力を与えたことは絶大な効果がありました。持つべきは良きパートナー、いざという時に心を支えてくれるパートナーです。


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