最高な歳のとり方
先日、お仕事で90歳の方のお誕生日を祝うお手伝いをさせていただきました。90歳のお祝いは卒寿(そつじゅ)と言うらしい。日本人として恥ずかしいのですが、自分とはあまりにも縁がなかった言葉なので、初めて勉強させてもらった言葉です。
こちらのマダムは今まで関わったことのある90歳として異例の若さを保っていました。背筋はピンと伸び、歩き方はサクサクと速く、何よりもびっくりしたのは目がキラキラしている。はっきりとした口調の言葉には活気があり、おまけにユーモアまである。
私が10代の頃、自分の人生はせいぜい30代で終わるだろうと思っていました。音楽をずっとやってきて、ロック魂が宿っていたし、内容の濃い人生を短命で終えたいと考えていた。ところが10代から30代なんて、指をパチンと鳴らしたらすぐにやってくるほどのスピード感。振り返ると自分はこの世の中で何も功績をあげていないじゃないか?まさか、この状態のままでは死ねない・・・と。
今は短命で人生を終えるなんて、バカバカしく思えますし、1秒でも長く生きて地球というパラダイスを楽しみたいと思うようになった。天国はあの世にはない、この世こそ天国だと。
ただ、一つだけ欲を言うなら「格好よく歳をとりたい」ということ。足腰が弱くなって、歩けなくなって、家に引きこもるようになって、介護が必要になって・・・そんなのはイヤだ。
先ほどのマダムの話に戻ると、彼女は90歳になっても沢山の友人に囲まれている。誕生日にパーティーを開催し、アメリカ人の友人はコンサートを開いてくれ、私はDJをしている。ドリフターズ(アメリカのソウルバンド)の「ラストダンスは私に」を聞きながら、皆でディナータイムを楽しんでいる。
ドリフターズ / Save The Last Dance For Me(ラストダンスは私に)
マダムは90本のバラに囲まれ、また次々とお祝いに来る人が花束を持ってくるから、周囲は花だらけ。なんて素敵な歳のとり方だろう・・・自分の足で歩き、友達との会話に花を咲かせ、ライブ音楽を楽しんでいる。
日本では歳をとることに対してネガティブなイメージばかりが先行しているけど、こんなに幸せな歳のとり方もあるんだな~と。
マダムいわく「次は95歳に次の誕生日会を開きたい」とのメッセージを皆さんに伝え、会場からドッと拍手が沸きました。
葬式にたくさんの人が訪れてくれるのもありがたいですが、心臓が動いているうちに楽しいことを沢山経験したほうが100倍価値がある。そんなことを感じたパーティーでした。
これをもって私がDJとして仕事をしたバースデイパーティーの記録は、最年少が6歳、最高齢が90歳に更新されました(笑)
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