平均点教育

私達は裸でこの世に生まれて来た時は、ほとんどの人が完璧な状態で生まれてきます。生まれてからは親の元で育てられ、学びながら成長していく。

親は子供に大変な思いをさせたくないので、子供に対して「教育」という名のもとに様々なしつけをする。「これは危ないからダメだ」とか「勉強をして良い学校へ行った方がいい」とか・・・特に私のような昭和世代の日本人家庭の教育は、できるだけ世間体の無難なカタチから大きく外れることがないよう、親は子供に対してレールを敷いてきました。その考えは子供が大人になった時に苦労をさせたくない、という想いからでした。平均的から外れずに生きて行けば不幸にはならない・・・と信じてきたから。

令和という時代に入って、そういった考えは少しづつ変化しているようにも見えますが、何十年も洗脳されてきた日本の教育が突然変わるわけもなく、根強い「平均点思考」のもとで今だに親は子供に対して個性を殺す教育を信じている。

冒頭で書いたように、人間は赤ちゃんの時は完璧な状態で生まれてくるんです。しかし、最愛であるはずの親が子供に「平均点教育」を促し、その考えを子供に伝える。子供は親に好かれたくて親の言うことを信じ、親の言うことを聞く。その結果、親から言われたことを信じてきた平均点の子供は、大人になって世間に出ると混乱するんです。「これが本当に自分の姿なのか？」と。

今朝、NHKを見ていると「雨を走る子供たち」というドキュメンタリー番組が放映していました。

その場所は川崎市の施設でNPO法人が運営、いじめなどが原因で学校を不登校になった子供たちが集まっている学校みたいなところ。

その施設ではその日に何をするかは子供自身が決める。「勉強をしなければならない」とか「運動をしなければならない」という規則はない。パソコンでゲームをしてもいいし、気の合う子供同士でサッカーをやってもOK。絵を書く子もいれば、ダンスの練習に励む女の子もいました。ここに平均点は存在し得ないし、子供たちはお互いの個性を尊重し、しかも協調性を持って生活している。

そして一番驚いたのは大雨の日にみんなで外に出て泥だらけになって遊んでいる様子を見た時。大雨の日に普通の親や学校側が考えるのは「雨だから外に出て濡れると風邪をひいてしまう」という結論が精一杯。でも、ここでは全然違う。

雨の日にしかできない外遊びが出来るから外で遊ぶ、という考え。みんながドロにまみれ、ビシャビシャになって楽しんでいる。しかも、それすら強制じゃなく、外で遊びたい人だけ遊ぶ。

こういった考えは常識に捕らわれていたら絶対に生まれない。ほとんどの親は子供の好奇心をシャットアウトし、子供が水たまりに入ることすら許してくれませんから。。。実は子供の為の教育というのは全くのウソで、親のエゴで「こうしなさい」と言うことを聞かせているだけ。子供の人間性や個性は親の所有物になっていて、その行為は生まれてから何十年も子供を支配しているんです。

赤ちゃんから親が「教育」という名のもとで子供に伝えてきたことは子供を苦しめ混乱させている。元々完璧で自由だった赤ちゃんは成長するにつれ、親の価値観を叩き込まれ、成長と共に自由な意思を奪われる。そして子供は自分への自尊心を徐々に失う。「もっと頑張らなきゃ」とか「世の中の役に立たなきゃ」と言って、それが出来ていないと自分を責めてしまう。結果、元気のない人や鬱になったりする人が多くなる。それが昭和日本の教育で、いまだに多くの人が何の疑いを持たずに引き継いでいる。

別に世の中の役に立たなくてもいいじゃないですか？元気でただ生きていれば、それだけで完璧なハズ。ノラ猫が世の中の役に立たなきゃ、とは考えていないけど、十分に周囲の人々を癒しているのと同じ。日本のノラ猫はみんな太っているけど、周囲から愛されてエサを沢山もらっている証拠。ノラ猫は「頑張って生きなきゃ」なんて思ってません。あなたにはあなたの生まれてきた理由がある。

今の自分だったら子供が勉強もしないでゲームばっかりやっていたら「ゲームがそんなに好きなら、絶対にゲームで他人に負けるな」って言うだろうし、子供が学校に行きたくないって言ったら「じゃあ、学校サボって一緒に遊びに行くか？」ってキャンプに連れ出したりする。

みんなが行ってるからって塾なんか行かせないし、子供の意思を無視してピアノを習わせることも絶対にない。没頭できることを見つけてあげたり、良い方向へガイドしてあげるけど、押しつけたり、他人と比較することはない。これ、マジですけど他の子と比較するの、本気でやめましょうね。この行為は子供殺し、絶対ダメです。

ほとんどの親世代は20～30代で人間としてはまだヒヨッコ。子供が子供を育てているのが現状で世の常。それは自分が娘に対して手ほどきしてきた教育方法を振り返っても思い当たる節がある。

今の自分が赤ちゃんから子供を育てられたら、もっと子供の個性を伸ばしてあげられたのに・・そんなやわらかな後悔を時々します。