To The Moon
私のスマホのShazam(音楽検索サイト)に2022年3月に検索をかけた履歴が残っているアーティストで、いまだに入れ込んでいる曲があるので紹介する。最初にこの曲を聞いた時はあまりにもブっ飛んでいてびっくりした。
現在23歳、アフリカのガンビア生まれJNR Choi(ジュニア・チョイと読む)ロンドンで活動をしているモデル出身のアーティスト。彼の履歴については、どれだけ検索をかけてもこれ以上の情報はでてこない。
これから紹介する曲の何がスゴイかと言うと、それはずばりアフロビートの使い方とそこにぶち込んだメロディー。まずは曲を聞いてもらいたい。
Jnr Choi, Sam Tompkins – TO THE MOON (Official Music Video)
1年前までは自主制作アーティストだったのに、こちらのビデオではEpic Recordsからのリリースとなり、ミュージックビデオにも結構なお金が動いているのを見ると、彼の才能に慌てて契約したメジャーレコードの影が見え隠れする。
この曲は現在、アメリカのヒップホップ界でもヘヴィーローテーションとなり、どこかで聞いたことのある悲し気なメロディーと高速アフロビートが独自の世界観を生んでいる点に注目が集まっている。
メロディーに関して、何故親近感が沸くのか?それは2010年にリリースされたブルーノマーズのデビューアルバムに収録されていた曲の「Talking to the Moon」だから。
このアルバムが凄過ぎたせいで、Talking to the Moonがシングルカットされることは無かったが、それでも200万枚ダウンロードを記録しているからアメリカ人なら誰でも知っている曲であることに間違いない。(以下の曲0:44あたりに注目)
Bruno Mars – Talking To The Moon
しかも、面白いことにJNR ChoiのTo The Moonのボイスサンプルで起用したのは、上記のブルーノマーズのサンプリングではなく、Sam Tompkinsという若干無名のアーティストがSNSに上げたショート動画。それがこちら↓
Talking to the Moon covered by Sam Tompkins
こういった現象が、まさにSNS時代の面白み。音楽が化けて化けて表現が底なしに自由になる。
しかし、その一方で著作権などの音楽管理が全然時代に追い付いていないのも事実。JNR ChoiのTo The Moonが一時的にネット上から削除されたのは、Sam Tompkinsからのクレームを受けてだと思われる。
何はともあれ、この時代の音楽はインターネトやSNSの進化と共に変化し続ける。だから生活に音楽が根差していないと、どんどん進化する音楽に取り残されることになる。
いつの時代も最新の音楽を生み出しているのは20代前半の世代。彼らの日常生活や行動を理解することは、最新の音楽を理解することにもつながる。昔ながらのミュージシャンやバンドマンが今の音楽について行けなくなる理由も、この辺りが鍵になっている気がする。
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