2019-08-17

良い音響の設計とシステム

普段から私は買い物をする時も、遊びに行く時も音の出元(どこから音が出てるか)を探して、どれくらい音響設備に力を入れているかを観察するのがクセです。同じアパレルのショップでも流行しているブランド店は音楽の力を理解しているので、感心するような音響の設計をしています。悪い例で言うとわかりやすいのですが、大手の百貨店のような洋服売り場は流れている音楽もショボイうえに、ビルの管理会社から割り当てられたような薄っぺらい音響機器しか備え付けていません。

もともと私のDJスタイルはモバイルDJであり(PA機材とDJプレイがセット)音響機材にこだわりを持っているのは周知のこと。可能な限りクリアな音で音楽が持つ表現力を最大限に体感してほしい。高音から低音まで幅広いレンジが出力できる本格的なスピーカーで音楽を聴くのと、天井についているような薄っぺらいペラペラの音しか出力できないスピーカーで音楽を聴くのとでは、同じ曲でも演出力が全然ちがう。一般の方にはこの事実を言葉で説明するのが非常に難しく、そこを費用対効果として理解してもらえないという悩みがあります。

飲食店やテナント、そして特に私がオペレートに入るウエディング会場では音響機器が大切な役割を担います。ウエディングの現場では音や映像は非常に大切なポイントで活用されているのはご存知と思います。例えば、新郎新婦が退場するシーンではド迫力の音楽と共に感動的に退場できる場合と、クタクタのスピーカーから音が割れて耳障りな音楽に聞こえてしまうような場合とでは「感動的な退場」という演出においてゲストに与える印象が随分と変わってしまいます。人間で例えるとモゴモゴ話す人とアナウンサーのようにはっきり話す人との違いくらい、音の表現力に明確な差がでます。

話は変わりますが、お店を新しくオープンする際の店舗や飲食店などは建築士が店内の図面を起こし、それに合わせて施工屋さん(職人)が実際に工事を進めていくのですが、その過程でお店のデザインを優先するあまり完成後の機能面についておろそかになってしまうケースがあります。(メチャあるあるです)私も過去に担当させていただいた音響工事で残念な経験があるのですが、建築士(デザイナーさん)のこだわりが非常に強いために、思うような音響配置が出来ず、実際の運営が始まった後に支障をきたす設計になったケースがあります。建物が完成してしまうと、何をあがいてもあとの祭り。その時にどうしてもっと建築士を説得できなかったのだろうと敗北感だけが残りました。

私だけではないと思いますが、記念日に行ったレストランなどで心地よい音で、大好きな音楽が流れてきたらテンションは上がります。洋服のショッピングなどに行った際に120 BPM(早歩きくらいの速度、リズムのこと)で音楽がガンガン流れていたら、つい余計なものまで買ってしまうでしょう。音楽は潜在意識に語り掛け、人の心理を動かせます。そのマジックがかけられるのは、唯一良い音響の設計とシステムです。


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