2022-08-04

演技指導

先日のドラマ撮影で監督を務めた際に経験した新鮮なできごと。

通常でしたら舞台や映画の現場では「演出家」の存在が大きく、演出家の影響力は作品の良しあしを決める重要なポジションになります。

しかし、今回は低予算作品のためひとり何役も兼任。私が役者さんの演技指導をする立場でした

演技指導の他にも、その場で思いついたセリフを導入したり、役者さんにキーワードだけを伝えアドリブでセリフをしゃべってもらいましたが、これが思いのほか楽しかった。

経験豊富な役者さんほど、キーワードとイメージを与えるだけで次から次へと面白いセリフでアドリブをかましてくれる。中には何度かテイクを重ねるたびに話が膨らんで、終いには爆笑してしまうほど面白いことをしゃべる役者さんもいる。放置しておくとずっと続けてくれるので、カットの声を掛けずにしばらく眺めていたシーンもあり、まさに役者任せ。

是枝監督がベイビーブローカーの制作秘話で「脚本は7割しか決めないであとは現場で合わせる」と言っていたのを思い出し、所々に役者の即興シーンを入れてみたのがきっかけ。あまりにもイメージから遠ざかると軌道修正を入れますが、高い確率で自分では思いつかないような面白いアイディアが出て盛り上がる。

決まったセリフを正確にしゃべることも必要ですが、役者さんの持ち味を活かすという選択肢もある。要は生きた芝居なのか?作られた芝居なのか?ということ。

今回の撮影では、芝居は全くのド素人の子役を3名起用してみたのですが、その成果が表れたのがまさにこの子達のシーン。お母さんが亡くなって悲しむシーンがあり、最初の芝居では笑ってしまう子がほとんど。

そこで私は彼らにシーンの状況を詳しく伝え「本当にキミたちのお母さんが死んでしまったら」と彼らに想像力を与えることで、最終的には本気で泣いてしまう子さえ現れました。

と、慣れない演技指導ではありましたが何とかやり切った・・・という話でした。


にほんブログ村 音楽ブログ DJ(クラブ・ディスコ)へ

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください