シンバルたち
私は小学校4年生の時に母親にドラムを買ってもらいました。
当時、私の姉がエレクトーンを習っていて、ある時姉に新しいエレクトーンを母親が買い与えたんです。
それを見ていた私は、よほどうらやましそうな顔をしていたのでしょうか?母親は「あなたも楽器やりたい?」と、私に対して仕方なさそうにドラムを買ってくれる流れになりました。
でも、それがキッカケで私は音楽を始めることができた。当時の私は10歳の子供でしたが、まさかこの歳になっても音楽を続けているとは想像すらしていなかった。
10歳の私は、姉のエレクトーンの先生からドラムを習いました。簡単な8ビートとか16ビートとかの基礎を毎日練習していたら、すぐに出来るようになった。数年後の小学校6年生の時(12歳)でバンドを組み、13歳の時には社会人バンドの中でドラムを叩いていた。それはもう、私の人生で二番目に楽しい時期だった。(ちなみに一番は今)
中学生で音楽のライブ活動に真剣に取り組んでいましたが、なんせドラムを叩くにもお金がかかる。ライブに出演するにもお金がかかる。例えばドラムのヘッドという皮の部分が破けて4000~5000円の出費があったり、ドラムのスティックも1組1000円はするけど、すぐに折れちゃう。
新しいシンバルが欲しくなったり、上手くなってくると新しいドラムセットも欲しくなった。
当時の私は北海道に住んでいましたが、毎朝新聞配達をやっていて、それが唯一の収入源だった。毎日毎朝新聞を配って1カ月に12000円~15000円くらい。休みは正月だけでした。
どんなに夜遅くまでバンドの練習をしていても(当時は夜中12時くらいまで練習をしていた)どんなに具合が悪くても、どんな極寒で大雪に見舞われても、毎朝必ず新聞配達に行った。今考えると、あんな過酷な仕事ができれば、どんな仕事でも楽に感じる。
でも、そのわずかな収入でドラムのシンバルを買い足したりできたんだ。
上の写真は、現在のわたしの仕事で「楽器レンタル」を依頼された際に持って行くドラムセットです。2023年4月に撮影した写真です。
で、この写真に写っているシンバルは全部当時の私が新聞配達をして買ったシンバルなんです。凄くないですか??忘れもしない、右上に配置されているパイステのパワーライドというシンバルは当時5万円もしました。(当時の為替レートは1ドル235円前後)
当時のハングリー精神を忘れないためにも、私はこのシンバル達を誰にも譲らないで何十年もキープしていた。自分でも驚きなんですが、それが半世紀の時を超えて、今こうして仕事道具としてお金を生んでいるんです。
残念ながらドラムセット本体は売ったり、譲ったりしてしまいましたが、このシンバル達は最高の保管状態で管理していた。40年という歳月を超え(おっと、歳がバレる)過去に苦労をして手に入れた道具がこの瞬間に役に立っていること。
なんと形容していいか分かりませんが「嬉しさ」と「ありがたさ」と「切なさ」の気持ちで一杯になります。
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