Take it easy
若い頃、私がニューヨークのハーレムに住んでいて黒人同士が交わす別れ際の挨拶で興味深かった言葉があります。
日本は基本的に単一民族の国で人種的な問題に関しては世界的に意識が低い。最近は日本にも外国人が増えましたが、基本的に日本には日本人ばかりが住み日本の文化が基盤となっている。
しかし一歩日本を出て世界を見ると、他の国では多民族国家で様々な文化背景を持った人種間同士が共同生活を送っている。そこにはお互いの文化を理解しあったり、尊重したったり・・・それができなければ争いになったり、実際に戦争になることもある。
そこまで大きな問題と捉えなくても、生活の中の小さなシーンごとに文化の違いを感じる出来事が起きている。そこに私が興味深いと感じた別れ際の挨拶がある。
日本でも別れの際は「じゃあね」とか「気を付けて」とか「また明日」など相手に伝えるのが一般的。もちろん英語でも「See you」とか「Take care」とか「I will see you Tomorrow」など伝え方はさまざま。
私がへえ~面白いと感じた別れ際の挨拶、それは「Take it easy」というフレーズ。当時は黒人同士が主に使っているフレーズだった。(今は昔よりも広い意味で皆が使っているが・・・)
「Take it easy」をわかりやすく訳すと
・「気楽にやりなよ」
・「落ち着いていこうぜ」
・「あんまり頑張りすぎるなよ」
みたいなニュアンス。私は黒人達が何故にして労いの意味を含め、別れ際にこのような表現をするのか?非常に興味を持ったが、それはやはりアメリカ国内での人種間の文化背景が深く関係していると当時17歳だった私は肌感覚で味わった。
立場的に弱者である黒人達が別れの際に相手を労う意味を含めて「気楽にやりなよ」とお互いに言葉を放つ。そう、弱い立場だからこそ相手を叱咤激励する意味を含め、こんな表現になるんだと感じた。
それはまるで鬱病の患者に「もっとがんばれよ」などと言わないことと同様、相手を気遣う優しさのようなものも感じる。こんな言葉の一つに人種間の本質的な現実を発見したという話。
その意味を知った17歳の少年は、それ以降も彼の人生において、人々と別れ際のあいさつには「あんま頑張りすぎるなよ」と言葉を放っているらしい。
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