2020-12-08

稼ぎたければ、働くな。

2012年に出版されたこんな本を読んでみました。最初に言っておきますが、ラクして生きるという意味ではありません。

 

山田昭男著「稼ぎたければ、働くな。」

この経営者はよくテレビで取り上げられていたので、知っている方も多いと思います。

未来工業という建築材料を取り扱っている会社で、私もこの会社の商品を持っています。音響の工事を頼まれた時に使う、フリーホールソーという天井などに穴を開ける工具で、天井の埋め込みスピーカーを設置する時などに重宝しています。

この社長さんの言うことで特に印象的だったのは
1. 残業は一切禁止

2. ホウレンソウ(報告・連絡・相談)はするな

3. ゼロのリスクよりも100の失敗を評価

優秀なビジネスマン街道を突っ走ってきた方にはチンプンカンプンなことばかり。本来なら、人より稼ぐには人の倍働けとか、上司へのホウレンソウは基本中の基本とか、失敗ばかりしてひどく叱られたり・・・ビジネスの世界では当然の決まりごとが、この経営者にとっては通用しない。

彼は若いころに劇団を作ってのめり込んだらしく、仕事もせずに劇団の活動に精をだしていたのだそう。親父が一代で築いた会社を引き継ぐ予定だったが、勘当され泣く泣く自分で会社を作ったというエピローグがありました。

仕事もいいが、自分の生活が満たされていないと人生何のために生きているのかわからない、というスタンスのようです。

それにしても、社員の年間休日140日で毎日17時には社内に誰も人影がなくなるという会社の体制。しかも日本でトップクラスの給料を支払い、創業以来一度も赤字がないというから驚いたものだ。

そこに隠された秘密は、社員のひとりひとりが自分の頭で考える習慣を身に付けさせているという点。この会社には、日本流の長い時間をがむしゃらに働く美徳観念はゼロ。いかに常識に捕らわれずに、アイディア豊かな発想で考えることが大切とされている。

例えばドアにノブは必要か?と考えた社員の話。ドアにノブなんてあるから、開けたり閉めたりしなければならない。ノブがなければ勝手に開け閉めが出来るので、両手がふさがっていてもお尻でドアが開く、とか。そして早速会社中のドアからノブを外す。

それ自体は1円にもならないかもしれないのですが、そういった自由な発想を常に社員に持たせるということ。なるほどと思いました。

「売上200億円の会社がパナソニックと同じ土俵で勝負しても勝ち目はない」と言い切っており、物事を常に違った捉え方で見る目を社員ひとりひとりに養っているのでしょう。それによって面白い商品が生まれ、ユーザー目線に立てる。

上司にホウレンソウなんてやっている暇が合ったら、さっさと自分で考えて行動しなさいというのが社長の考え。人の能力に差はないとの考えの元、新設した工場長をあみだくじで決めたとか、面白い話が満載です。

社員のひとりひとりが本気でアイディアを出し合って取り組めば、世の中の常識がひっくり返る。そんな興味深い考えがわかりやすく書かれています。

働き方で悩んでいる方、起業前で立ち止まっている方、バリバリのサラリーマンにもお勧めしたい1冊です。


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