90年代R&Bムーブメントの歴史
「DJのための音楽史90年代R&B」
今日は1980年後半から90年代初期までに巻き起こったR&Bムーブメントについて解説する。この時代の音楽は彩ったのはアーティストを商業的に売り込むことに成功したプロデューサー陣の影響力が背景にある。
中でも安定的にヒット曲を連発したキーパーソンにJam & Lewis、Babyface、Teddy Riley、Puff Daddyは外せない。以下に順を追って説明していこう。
元Woofinの音楽ライター(1997年~2017年)として数々の外タレアーティストのインタビューを19年務めたJobowが解説
Jimmy Jam & Terry Lewis
81年に結成されたFlyte Tymeというバンド出身。同郷ミネアポリス出身プリンスのオープニングアクトを務めた経験がある。プロデューサーとしてジャネットジャクソンの86年Control、89年Rhythm Nationの成功を機に16曲を全米チャート1位に、26曲をR&Bチャート1位に送り込んだ。
代表曲(いずれも全米チャート1位)
・Janet Jackson – Miss You Much(89‘)
・Janet Jackson – That’s the Way Love Goes(93‘)
・Janet Jackson – All For You(2001‘)
・Boyz II Men – 4 Seasons of Loneliness(97‘)
・Usher – U Remind Me(2001‘)
Babyface
(Bootsy Collinsに童顔と言われたのがニックネームになった)
80年代にThe Deeleというバンドで活動。後にメンバーのL.A. Reidと共にプロデュース活用を共にする。80年代後半から90年代初頭にかけて独特な美しいメロディーラインが特徴のR&Bソングを量産し、26曲もの大ヒット曲をチャートに送り込んだ。
代表曲
・Bobby Brown – Every Little Step(90‘)
・Johnny Gill – My My My(91‘)
・Boyz II Men – End of the Road(93‘)
※全米チャート脅威の 13週連続1位を記録
・Boyz II Men – I’ll Make Love To You(95‘)
・Eric Clapton – Change the World(97‘)
Teddy Riley
1987年にGuyを結成。88年にUptown Recordsより「Guy」を発表。アルバム制作にはテディ―自身も参加しR&Bアルバムチャートで1位を記録。テディが作り出したワシントンGo Goスタイルを進化させた「ニュージャックスウィング」というビートが世界中で大流行した。また94年にBlack Streetを結成し初期メンバーが日本に来日。著者もライブを見に行った一人だ。
代表作
・Keith Sweat – I Want Her (87’)
・Bobby Brown – Get Away (92’)
・Michael Jackson – Remember the Time (91’)
・Hi-Five – I Like the Way(91‘)
Puff Daddy(Sean Combs)
ヒップホップソウルの仕掛人。1990年にUptown Recordsにインターンで入り、アンドレハレルの元、音楽業界について学ぶ。時代を見越した鋭いセンスを活用しMary J BligeやJodeciを手掛けヒットへ。93年に自身のレコード会社「Bad Boy」を立ち上げThe Notorious BIGを世の中に送り出し成功した。自身もアーティストとして活動4枚のアルバムを発表。
手掛けたアーティスト
Mary J Bligeファーストアルバム「What’s the 411?」(92′)
※著者はハーレムでデビューステージを見た!
Jodeciファーストアルバム「Forever My Lady」(91′)
The Notorious B.I.G.ファーストアルバム「Ready to Die」(94′)
TLC セカンドアルバム「CrazySexyCool」(94′)
このように80年代後半から90年代はかつてないR&B全盛期であり、上記のプロデューサー陣をメインに2000年代初頭まで豊かなメロディーラインを引き継いだプロデュース・チームがアメリカの音楽産業をけん引した時代となった。以降はヒップホップ勢力が徐々に強まり、ソウルミュージックやゴスペルを基盤とした歌モノの時代は少しずつ幕を下ろすことになる。
詳しくは動画でも解説しています。
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